「ウイルス対策ソフトは入れている」── でも、それだけで本当に守れていますか?
結論から言います。 EDR(Endpoint Detection and Response)ツールを選ぶうえで最も重要なのは、「マルウェアをブロックできること」ではなく「自社のセキュリティ課題──従来のアンチウイルスでは検知できない高度な攻撃(ファイルレスマルウェア・ランサムウェア・標的型攻撃)をリアルタイムに検知したいのか、インシデント発生時の調査・対応を自動化して対応スピードを上げたいのか、社内にセキュリティ専任者がいない中でも運用可能な仕組みを構築したいのか──を踏まえ、“限られたセキュリティリソースで高度な脅威に対応できる体制”を実現するサービスを選ぶこと」です。
「アンチウイルスソフトは導入しているが、それで十分なのか不安がある」「ランサムウェア被害のニュースを見るたびに、自社の対策が後手に回っていないか心配になる」「セキュリティインシデントが起きたとき、原因を特定して対処するまでに何日もかかってしまう」── こうした状況に心当たりはないでしょうか。
- 従来のアンチウイルス(EPP)だけでは、ファイルレス攻撃や正規ツールを悪用した攻撃(Living off the Land)を検知できない
- ランサムウェアの侵入を許した場合、暗号化が始まる前に自動でブロックする仕組みがない
- インシデントが発生しても攻撃の全体像(侵入経路・横展開・情報窃取の範囲)を追跡できない
- セキュリティ専任者がおらず、EDRの運用(アラートの分析・対応判断)に不安がある
- テレワークの拡大で、社外に持ち出されたPCの脅威をリアルタイムに監視できていない
今回はこの「EDR(エンドポイント脅威検知・対応)ツール」の中から、異なるアプローチを持つ3サービス──CrowdStrike Falcon・Cybereason・SentinelOne──を、セキュリティ運用の実務に即した観点で比較します。
・CrowdStrike Falcon / Cybereason / SentinelOne の「本質的な違い」── クラウドネイティブな脅威インテリジェンス×軽量エージェントで世界トップクラスの検知率を実現するプラットフォームか、攻撃の全体像を自動解析して「オペレーション単位」で可視化する日本市場に強いサービスか、AIによるリアルタイム検知×自律的な脅威対応で人手を最小限にするプラットフォームか
・脅威検知の精度・範囲 ── マルウェア・ファイルレス攻撃・ランサムウェアなど、どこまでの脅威をカバーできるか
・インシデント対応の自動化 ── 検知後の隔離・修復・調査をどこまで自動化できるか
・管理コンソール・運用のしやすさ ── セキュリティ専任者がいない組織でも運用できるか
・料金体系 ── エンドポイント数に応じたコストと、MDR(運用代行)オプションの有無
従来型のアンチウイルス(EPP:Endpoint Protection Platform)が「既知の脅威をブロックする」ことに重点を置くのに対し、EDRは「侵入を前提として、脅威の検知・調査・対応を行う」ことに重点を置きます。本記事で取り上げる3サービスはいずれもEPP機能も内蔵していますが、比較の軸は「EDRとしての検知・対応能力」に置いています。ウイルスバスター・ESET・Microsoft Defender for Businessなどの基本的なエンドポイント保護については、クラウドエンドポイントセキュリティ比較の記事をご覧ください。
EDR(エンドポイント脅威検知・対応)の基礎知識
比較に入る前に、なぜ今「EDR」が必要とされているのか、基本的な仕組みを整理しておきましょう。
EDR(Endpoint Detection and Response)とは ── エンドポイント(PC・サーバー・モバイル端末)で発生する不審な挙動をリアルタイムに記録・分析し、脅威の検知・調査・対応を行うセキュリティソリューションです。従来のアンチウイルス(EPP)が「既知のマルウェアをシグネチャで検知してブロックする」のに対し、EDRは「エンドポイントの全挙動を常時監視し、未知の脅威や正規ツールを悪用した攻撃も振る舞いベースで検知する」という、より広く深い防御を実現します。
なぜ今、EDRが必要なのか:
① サイバー攻撃が「アンチウイルスを回避する前提」で設計されている: 近年の高度な攻撃は、マルウェアファイルを使わずにPowerShellやWMIなどの正規ツールを悪用する「ファイルレス攻撃」や、正規ソフトウェアのアップデート経路を狙う「サプライチェーン攻撃」など、従来のシグネチャベースのアンチウイルスでは検知が困難な手法を用います。EDRは実行中のプロセスの振る舞いを分析するため、こうした回避型攻撃にも対応できます。
② ランサムウェアの被害が深刻化している: IPA(情報処理推進機構)の「情報セキュリティ10大脅威」で組織向け脅威の1位が「ランサムウェアによる被害」であり続けているように、ランサムウェアは日本企業にとって最大級の脅威です。EDRはファイルの暗号化挙動をリアルタイムに検知し、自動で端末を隔離して被害の拡大を防ぐ機能を備えています。
③ 「侵入を100%防ぐ」ことは不可能という前提に立つ必要がある: どれだけ防御を固めても、攻撃者は新たな手法で侵入を試みます。重要なのは「侵入されたあと、いかに早く検知し、被害を最小限に抑えるか」です。EDRは侵入後の攻撃者の活動(横展開・権限昇格・情報窃取)を追跡し、攻撃の全体像を可視化することで、迅速なインシデント対応を可能にします。
EDRに関する基本用語:
- EPP(Endpoint Protection Platform): アンチウイルス・ファイアウォールなど、既知の脅威をブロックする従来型のエンドポイント保護。EDRの「前段」として機能する
- XDR(Extended Detection and Response): EDRをエンドポイント以外(ネットワーク・クラウド・メール・アイデンティティ)にも拡張した統合的な脅威検知・対応
- MDR(Managed Detection and Response): EDRの監視・運用をセキュリティ専門家が代行するマネージドサービス。社内にSOCを持たない企業向け
- MITRE ATT&CK: サイバー攻撃の戦術・技術・手法を体系化したフレームワーク。EDR製品の検知能力を客観的に評価する指標として広く参照される
- IOC / IOA: IOC(Indicator of Compromise)は侵害の痕跡、IOA(Indicator of Attack)は攻撃の兆候。EDRは両方を用いて脅威を特定する
3サービスの基本比較 ── まず全体像を掴みましょう
| 項目 | CrowdStrike Falcon | Cybereason | SentinelOne |
|---|---|---|---|
| 運営 | CrowdStrike, Inc.(米国・NASDAQ上場) | Cybereason Inc.(米国・日本法人あり、ソフトバンクグループ出資) | SentinelOne, Inc.(米国・NYSE上場) |
| アプローチ | クラウドネイティブな脅威インテリジェンス×軽量エージェントで、リアルタイム検知と予防を統合。世界最大級の脅威データベースを活用 | 攻撃の全体像を「Malop(悪意ある操作)」単位で自動解析・可視化。日本市場での導入実績とサポート体制に強み | AIエンジンによるリアルタイム検知×自律的な脅威対応(自動隔離・修復・ロールバック)。人手を最小限にする設計思想 |
| 対象ユーザー | 中堅〜大企業のセキュリティチーム・SOC・CSIRT。グローバル拠点を持つ企業 | 中堅〜大企業の情報システム部門・セキュリティ担当。日本語でのサポートを重視する企業 | 中堅〜大企業のセキュリティチーム。自動化による運用負荷の軽減を重視する企業 |
| 導入形態 | SaaS(クラウド管理コンソール)+ 軽量エージェント | SaaS(クラウド管理コンソール)+ エージェント | SaaS(クラウド管理コンソール)+ 軽量エージェント |
| 料金 | Falcon Go $59.99/デバイス/年〜(エンドポイント数に応じた年額課金) | 個別見積もり(エンドポイント数に応じた年額課金。日本法人から直接購入可能) | Singularity Control $69.99/デバイス/年〜(エンドポイント数に応じた年額課金) |
| 特長 | Threat Graph(世界規模の脅威データベース)・MITRE ATT&CK評価で最高水準の検知率・OverWatch(マネージド脅威ハンティング)・XDR対応・20以上のモジュールでプラットフォームを拡張可能 | Malop(攻撃ストーリー)の自動可視化・日本語UIと日本語サポート・ソフトバンクグループとの連携・MDRサービス(GCSO)・国内導入実績が豊富 | Storyline(攻撃の自動相関分析)・ランサムウェアのロールバック(自動修復)・Ranger(ネットワークデバイス検出)・Purple AI(生成AIによる脅威分析)・完全自動化志向の設計 |
比較① 脅威検知の精度・範囲 ── どこまでの攻撃を見つけられるか
| 項目 | CrowdStrike Falcon | Cybereason | SentinelOne |
|---|---|---|---|
| マルウェア検知 | ◎ AI/MLエンジンによるシグネチャレス検知。クラウド上のThreat Graphで既知・未知のマルウェアを高精度に判定 | ◎ 複数の検知エンジン(シグネチャ・振る舞い・機械学習)を組み合わせた多層防御 | ◎ Static AI(ファイル解析)とBehavioral AI(振る舞い解析)の2段階でマルウェアを検知。オフラインでも動作 |
| ファイルレス攻撃 | ◎ PowerShell・WMI・マクロなどの不正実行をリアルタイムに検知。IOA(攻撃の兆候)ベースの検知ロジック | ◎ メモリ内の不審な挙動を分析し、ファイルレス攻撃を振る舞いベースで検知 | ◎ Behavioral AIがプロセスの実行チェーンを解析し、ファイルレス攻撃の異常パターンを検出 |
| ランサムウェア対策 | ◎ 暗号化挙動のリアルタイム検知・自動ブロック。IOAベースで既知・未知のランサムウェアに対応 | ◎ ランサムウェアの暗号化挙動を検知し、自動で端末隔離。攻撃のキルチェーン全体を可視化 | ◎ ランサムウェア検知に加え、暗号化されたファイルを自動で元の状態に戻す「ロールバック」機能を搭載 |
| MITRE ATT&CK評価 | ◎ MITRE Engenuity ATT&CK Evaluationsで継続的に最高水準の検知率を記録 | ◎ MITRE ATT&CK評価で高い検知率・可視性を記録。攻撃の相関分析に強み | ◎ MITRE ATT&CK評価で高い検知率を維持。自動対応能力でも高評価 |
| 脅威インテリジェンス | ◎ CrowdStrike Intelligenceで国家支援型攻撃グループ・犯罪組織の最新動向を提供。200以上の攻撃者グループをトラッキング | ○ Cybereason独自の脅威リサーチチームによるインテリジェンス。日本を標的とした攻撃の分析に実績 | ○ SentinelOne Labsによる脅威リサーチ。脅威インテリジェンスプラットフォーム(Singularity Data Lake)で外部データとも統合可能 |
脅威検知の精度・範囲の総評:
CrowdStrike Falcon の強みは**「世界最大級の脅威インテリジェンス」**に裏打ちされた検知精度です。全世界のエンドポイントから収集されるテレメトリデータをクラウド上のThreat Graphで分析し、新たな攻撃パターンを即座に全ユーザーの検知ロジックに反映します。200以上の攻撃者グループ(国家支援型・サイバー犯罪組織)を名前付きでトラッキングしており、「自社を狙っている攻撃者がどんな手法を使うか」という具体的なインテリジェンスを提供できるのは、CrowdStrikeならではの強みです。MITRE ATT&CK Evaluationsでも継続的にトップクラスの検知率を記録しています。
Cybereason の最大の特徴は**「Malop(Malicious Operation=悪意ある操作)」**という独自の概念で攻撃の全体像を自動的に解析・可視化する点です。従来のEDRが個別のアラートを大量に発行するのに対し、Cybereasonは関連するアラートを「一つの攻撃ストーリー」としてまとめて表示します。これにより、「この不審なPowerShell実行は、どのメール添付ファイルから始まり、どのサーバーに横展開し、どのデータにアクセスしたか」という攻撃の因果関係を、アナリストが1画面で把握できます。日本を標的とした攻撃パターンの分析にも実績があり、国内企業にとって実践的なインテリジェンスを提供しています。
SentinelOne は**「Static AI(静的解析)+ Behavioral AI(振る舞い解析)」の2段階検知**により、エージェント単体でもクラウド接続なしに脅威を検知・ブロックできる設計が特徴です。ネットワークから切断された端末でも検知能力が維持されるため、外回りの営業担当者のPCやリモートワーク環境でも防御力が落ちにくいのが強みです。さらに、ランサムウェアに暗号化されたファイルを自動で復元する「ロールバック」機能は、万が一検知が間に合わなかった場合のセーフティネットとして非常に有効です。
比較② インシデント対応の自動化 ── 検知後にどこまで自動で対応できるか
| 項目 | CrowdStrike Falcon | Cybereason | SentinelOne |
|---|---|---|---|
| 自動隔離 | ◎ 脅威検知時にネットワークから自動隔離(管理コンソールとの通信は維持) | ◎ 脅威検知時に端末の自動隔離。隔離中もリモート調査が可能 | ◎ 脅威検知時の自動隔離に加え、ポリシーベースで隔離レベルをカスタマイズ可能 |
| 自動修復 | ◎ マルウェアの自動駆除・レジストリの復元。Real Time Response(RTR)でリモートからの詳細対応も可能 | ◎ 不正プロセスの自動停止・不正ファイルの隔離。ワンクリックでの一括修復(Remediation) | ◎ マルウェアの駆除・変更されたファイル/レジストリの自動修復。ランサムウェアのロールバック(暗号化ファイルの自動復元) |
| リモートフォレンジック | ◎ Real Time Response(RTR)で対象端末にリモートシェルで接続し、ファイル取得・プロセス調査・スクリプト実行が可能 | ◎ 対象端末へのリモート接続でファイル取得・プロセス調査が可能。攻撃タイムラインの詳細表示 | ◎ Remote Shell で対象端末に接続しリアルタイム調査。Storylineで攻撃の因果関係を自動生成 |
| 脅威ハンティング | ◎ Falcon OverWatch(24/7のマネージド脅威ハンティング)。専門アナリストが能動的に潜伏する脅威を探索 | ◎ Cybereason MDR / GSOCによるマネージド脅威ハンティング。日本語での報告・対応 | ◎ Vigilance(MDRサービス)によるマネージド脅威ハンティング。Purple AIで自然言語による脅威クエリが可能 |
| 自動化レベル | ◎ 検知→ブロック→隔離を自動化。さらにFusion SOARでワークフローの自動化も可能 | ○ 検知→アラート→推奨アクション提示の流れ。自動対応ポリシーも設定可能だが、アナリストの判断を重視する設計 | ◎ 検知→隔離→修復→ロールバックまでを完全自動化可能。「人が介在しなくても対応が完了する」設計思想 |
インシデント対応の自動化の総評:
CrowdStrike Falcon のFalcon OverWatchは、CrowdStrikeの専門アナリストが24時間365日体制でエンドポイントのテレメトリを監視し、自動検知をすり抜ける高度な脅威を能動的に探索するマネージド脅威ハンティングサービスです。AIによる自動検知と人間のアナリストによる脅威ハンティングを組み合わせることで、「検知の網から漏れる脅威」を最小限に抑えます。Real Time Response(RTR)機能では、管理コンソールから対象端末にリモートシェルで接続し、ファイルの取得やプロセスの調査、スクリプトの実行まで行えるため、インシデント発生時に端末を物理的に回収する必要がありません。
Cybereason は**「アナリストの判断を支援する」設計思想**が特徴です。Malopの画面では、攻撃の全体像とともに「推奨される対応アクション」が提示されるため、セキュリティの専門知識が深くない担当者でも「何をすべきか」を判断しやすくなっています。完全自動化よりも「人間が状況を理解したうえで対応する」ことを重視する設計のため、「EDRのアラートが出たが、自動対応の結果として何が起きたのかわからない」という不安を感じにくいのが特徴です。国内のMDRサービス(GSOC)では日本語での報告・対応が受けられるため、英語でのやり取りに不安がある組織にも適しています。
SentinelOne は**「完全自動化」**を設計思想の中核に据えています。脅威の検知→端末の隔離→マルウェアの駆除→変更されたファイル・レジストリの修復→ランサムウェアで暗号化されたファイルのロールバックまで、一連の対応フローを人手を介さずに自動で完了させることが可能です。この「自律型(Autonomous)」アプローチは、SOC(セキュリティオペレーションセンター)を持たない企業や、セキュリティ専任者が少ない組織にとって大きなメリットです。さらにPurple AIでは、自然言語で「過去7日間にPowerShellを異常実行したエンドポイントを表示して」といったクエリを実行できるため、専門的なクエリ言語を習得しなくても脅威ハンティングを行えます。
比較③ 管理コンソール・運用のしやすさ ── 日常的に使いやすいUIか
| 項目 | CrowdStrike Falcon | Cybereason | SentinelOne |
|---|---|---|---|
| 管理コンソール | ◎ Falcon Consoleでエンドポイントの状態・検知・インシデントを一元表示。ダッシュボードのカスタマイズ性が高い | ◎ Cybereason Defense Platformで攻撃の全体像(Malop)をビジュアルに表示。直感的なタイムライン表示 | ◎ Singularity Consoleでエンドポイント管理・検知・対応を統合。クリーンで見やすいUI |
| 攻撃の可視化 | ◎ プロセスツリーで攻撃の実行チェーンを表示。MITRE ATT&CKの戦術・技術にマッピングして表示 | ◎ Malop画面で攻撃の根本原因→影響範囲→横展開の全体像を1画面で可視化。「攻撃ストーリー」として直感的に理解できる | ◎ Storyline機能で攻撃のプロセスチェーンと因果関係を自動生成。タイムラインで時系列表示 |
| 対応OS | ◎ Windows・macOS・Linux・ChromeOS・iOS・Android | ◎ Windows・macOS・Linux | ◎ Windows・macOS・Linux・ChromeOS・iOS・Android |
| 日本語対応 | ○ 管理コンソールは英語ベース。日本法人によるセールス・技術サポートは日本語対応 | ◎ 管理コンソール日本語対応。日本語でのテクニカルサポート・レポート・MDRサービス | ○ 管理コンソールは英語ベース。日本法人による日本語でのセールス・技術サポートあり |
| API・連携 | ◎ 豊富なAPI。SIEM(Splunk・QRadar等)、SOAR(Phantom・Demisto等)との連携。CrowdStrike Storeでサードパーティアプリを追加可能 | ◎ API連携対応。SIEM・SOARとの連携。Syslog出力対応 | ◎ RESTful API。SIEM・SOAR連携。Singularity Marketplaceでサードパーティ連携を拡張 |
管理コンソール・運用のしやすさの総評:
CrowdStrike Falcon のFalcon Consoleは、エンドポイントの状態・脅威検知・インシデント対応を一つのダッシュボードで管理できる統合コンソールです。検知されたアラートはMITRE ATT&CKの戦術・技術にマッピングして表示されるため、「この攻撃はATT&CKのどのフェーズに該当するか」を即座に把握できます。CrowdStrike Storeを通じてサードパーティのセキュリティアプリケーションを追加できるプラットフォーム設計も特徴で、EDRを起点にIT資産管理・脆弱性管理・アイデンティティ保護まで拡張可能です。管理コンソールは英語ベースですが、日本法人によるサポートは日本語で受けられます。
Cybereason は日本語UIでの管理コンソールを提供している点が、国内企業にとって大きなアドバンテージです。Malop画面では、攻撃の根本原因(最初の侵入ポイント)から影響範囲(どの端末に横展開したか)、実行されたアクション(ファイルの暗号化・データの外部送信など)までを1つのビジュアルダッシュボードで把握できます。「セキュリティの専門家でなくても、攻撃の深刻度と影響範囲をすぐに理解できる」というUI設計は、情報システム部門がセキュリティも兼任している組織にとって非常に実用的です。
SentinelOne のSingularity Consoleは、シンプルで直感的なUI設計が特徴です。Storyline機能では、検知された脅威に関連するすべてのプロセス・ファイル・ネットワーク通信の因果関係が自動的に構造化されて表示されるため、「このアラートの原因は何で、どこまで影響が及んでいるか」をクリック一つで確認できます。Purple AI(生成AI機能)を使えば、自然言語で「先週検知されたランサムウェア関連のイベントをすべて表示して」と入力するだけで分析結果を得られるため、高度なクエリ言語を習得する必要がなく、セキュリティ運用の敷居を下げています。
比較④ 料金体系・導入サポート ── コストと始めやすさ
| 項目 | CrowdStrike Falcon | Cybereason | SentinelOne |
|---|---|---|---|
| 料金モデル | エンドポイント数×年額課金。Falcon Go $59.99/デバイス/年〜、Falcon Pro $99.99/デバイス/年〜、Falcon Enterprise $184.99/デバイス/年〜 | エンドポイント数×年額課金(個別見積もり)。日本法人(Cybereason Japan)から直接契約可能 | エンドポイント数×年額課金。Singularity Control $69.99/デバイス/年〜、Singularity Complete $159.99/デバイス/年〜 |
| 無料トライアル | ◎ 15日間の無料トライアル(Falcon Go) | ○ 要問い合わせ(デモ・PoC対応あり) | ○ デモ・PoC対応あり |
| MDR(運用代行) | ◎ Falcon Complete(24/7のフルマネージドEDR)。検知→対応→修復まで専門チームが代行 | ◎ Cybereason MDR / GSOC。日本語での24/7監視・対応。国内SOCからの運用代行 | ◎ Vigilance(MDR)。24/7の監視・対応代行。Vigilance Respond Proでインシデント対応まで代行 |
| 日本語サポート | ◎ CrowdStrike Japan法人による日本語セールス・技術サポート。日本語ドキュメントも充実 | ◎ Cybereason Japan法人による日本語フルサポート。日本語UI・日本語ドキュメント・日本語MDR | ◎ SentinelOne Japan法人による日本語セールス・技術サポート |
| 導入実績 | ◎ 全世界29,000社以上。Fortune 100の77社が利用。日本国内でも金融・製造・サービス業で導入拡大 | ◎ 国内トップクラスの導入実績。ソフトバンクグループとの連携で日本市場に深く浸透。官公庁・金融・製造業での実績多数 | ◎ 全世界12,000社以上。Fortune 10の4社が利用。日本国内でも導入拡大中 |
料金体系・導入サポートの総評:
CrowdStrike Falcon はプランごとに機能範囲が明確に分かれているため、必要な機能に応じてコストを段階的に管理できます。Falcon Go($59.99/デバイス/年〜)はEDRの基本機能、Falcon Pro($99.99/デバイス/年〜)はEDR+脅威インテリジェンス、Falcon Enterprise($184.99/デバイス/年〜)はEDR+脅威インテリジェンス+脅威ハンティングと、段階的に機能が追加されます。社内にSOCを持たない企業向けには、Falcon Complete(フルマネージドEDR)で検知から対応・修復まですべて専門チームに任せるオプションも用意されています。
Cybereason は日本法人から直接契約・サポートを受けられる体制が強みです。料金は個別見積もりのため公開価格はありませんが、日本市場でのプレゼンスが大きく、ソフトバンクグループとのパートナーシップを通じた販売チャネルが確立されています。MDRサービス(GSOC)は国内のセキュリティオペレーションセンターから日本語で24時間監視・対応を提供するため、「英語でのやり取りが負担」「日本の商慣習に沿ったサポートが欲しい」という企業にとって安心感があります。官公庁・金融・製造業など、日本国内での導入実績がトップクラスである点も、導入検討時の判断材料になります。
SentinelOne は**「完全自動化」により運用コストを抑える**アプローチが特徴です。検知→隔離→修復→ロールバックまでを自動化できるため、SOCアナリストの工数を大幅に削減でき、「人件費を含めたトータルコスト(TCO)」で見ると競争力があります。Vigilance(MDRサービス)では24/7の監視・対応代行に加え、Vigilance Respond ProではデジタルフォレンジックやIR(インシデントレスポンス)まで代行してくれるため、大規模なインシデントが発生した場合にも外部リソースに頼ることができます。
EDRは導入しただけでは十分な効果を発揮しません。アラートが発生したときに「誰が・どのように・どの時間帯に」対応するかという運用体制を事前に整備しておくことが重要です。社内にSOC/CSIRTがない場合は、MDR(マネージド検知・対応)サービスの活用を検討するのがおすすめです。3サービスともMDRオプションを提供しています。
CrowdStrikeは15日間の無料トライアル、CybereasonとSentinelOneはデモやPoC対応を提供しています。まずは自社の一部の端末にエージェントを導入し、「検知の精度」「管理コンソールの使いやすさ」「運用フローとの適合性」を実環境で確認してから本番導入を判断するのがおすすめです。
導入前に確認しておきたいポイント
「EPP(アンチウイルス)」と「EDR」は役割が異なります
EPP(Endpoint Protection Platform)は「既知の脅威をブロックする」防御層であり、EDRは「ブロックを突破した脅威を検知・調査・対応する」対応層です。今回比較した3サービスはいずれもEPP機能を内蔵しているため、EDRの導入と同時に既存のアンチウイルスソフトを置き換えることが可能です。「EPPとEDRを別々のベンダーで運用する」方法もありますが、エージェントの競合や管理の煩雑さを考えると、1つの製品でEPP+EDRを統合するほうが運用はシンプルです。
「エージェントの軽さ」は業務への影響に直結します
EDRエージェントはエンドポイントに常駐してプロセスの挙動を監視するため、CPU・メモリの消費量が業務アプリケーションのパフォーマンスに影響を与える可能性があります。CrowdStrike FalconとSentinelOneは「軽量エージェント」を特徴として掲げており、CPU使用率1%未満を目標に設計されています。PoC時には「業務で使うアプリケーション(Office・ブラウザ・業務システム)との共存」を確認しておくのがおすすめです。
「XDR」への拡張性も将来の選定基準になります
EDRがエンドポイントに特化した検知・対応であるのに対し、XDR(Extended Detection and Response)はネットワーク・クラウド・メール・アイデンティティなど、エンドポイント以外のデータソースも統合して脅威を検知・対応する拡張概念です。3サービスともXDRへの拡張機能を提供しており、将来的にセキュリティの可視化範囲を広げたい場合に備えて、XDR対応の有無やロードマップも確認しておくと安心です。
よくある質問
編集部の結論
大切なのは「EDRを導入すること」自体ではなく、「自社のセキュリティ体制──専任のSOC/CSIRTがあるのか、情報システム部門が兼任しているのか、セキュリティ運用を外部に任せたいのか──に合ったツールを選び、検知から対応までの運用フローを確立すること」です。
「世界最高水準の脅威インテリジェンスと検知精度を求めたい」「マネージド脅威ハンティング(OverWatch)で自動検知の限界をカバーしたい」「EDRを起点にXDR・IT資産管理・脆弱性管理まで一つのプラットフォームで統合したい」企業にはCrowdStrike Falconがおすすめです。
「日本語UIと日本語サポートで導入・運用のハードルを下げたい」「Malopによる攻撃の全体像可視化で、セキュリティ専門外の担当者でも状況を把握したい」「日本語でのMDR(GSOC)サービスを利用したい」企業にはCybereasonがおすすめです。
「検知→隔離→修復→ロールバックまでの完全自動化でSOCの運用負荷を最小限にしたい」「ランサムウェアのロールバック機能で万が一の被害を自動復旧したい」「Purple AI(生成AI)で脅威ハンティングの敷居を下げたい」企業にはSentinelOneがおすすめです。
迷ったら、まず自社の一部の端末(50〜100台程度)でPoCを実施し、「検知精度」「管理コンソールの使いやすさ」「業務アプリケーションへの影響」「運用フローとの適合性」を比較するのがおすすめです。PoCの実施方法は各社の日本法人に相談すれば、環境構築から評価レポートの作成まで支援してくれます。
まとめ:選び方の3つのポイント
- 脅威インテリジェンス×プラットフォーム拡張性なら → CrowdStrike Falcon(CrowdStrike, Inc.運営・NASDAQ上場・Threat Graph(世界最大級の脅威データベース)・200以上の攻撃者グループのトラッキング・MITRE ATT&CK評価最高水準・Falcon OverWatch(24/7マネージド脅威ハンティング)・Real Time Response(リモートフォレンジック)・Falcon Complete(フルマネージドEDR)・CrowdStrike Store(サードパーティ拡張)・XDR対応・Falcon Go $59.99/デバイス/年〜・15日間無料トライアル・全世界29,000社以上の導入実績)
- 日本語フルサポート×攻撃の全体像可視化なら → Cybereason(Cybereason Inc.運営・ソフトバンクグループ出資・Malop(攻撃ストーリーの自動可視化)・日本語管理コンソール・日本語テクニカルサポート・日本語MDR/GSOC(24/7国内SOC運用代行)・日本を標的とした攻撃の分析実績・官公庁/金融/製造業の国内導入実績多数・個別見積もり・日本法人からの直接契約)
- 完全自動化×ランサムウェアのロールバックなら → SentinelOne(SentinelOne, Inc.運営・NYSE上場・Static AI+Behavioral AIの2段階検知・Storyline(攻撃の自動相関分析)・ランサムウェアのロールバック(暗号化ファイルの自動復元)・オフラインでもAI検知が動作・Purple AI(生成AIによる自然言語脅威分析)・Ranger(ネットワークデバイス検出)・Vigilance(MDR)・Singularity Control $69.99/デバイス/年〜・全世界12,000社以上の導入実績)