「問い合わせが来ても、誰が対応したか分からない…」── その混乱、フォームツールで解消できます
結論から言います。 フォーム作成ツールを選ぶうえで最も重要なのは、「フォームの見た目」ではなく「問い合わせを受けた後の対応フロー(ステータス管理・チーム共有・返信)まで一元管理できるかどうか」です。
中小企業の多くは、Webサイトに設置した問い合わせフォームの回答をメールで受け取り、Excelで管理し、対応状況はチャットで共有しています。「この問い合わせは誰が返信した?」「対応済み?まだ?」──こうした確認作業に毎日のように時間を取られていないでしょうか。
- Webサイトの問い合わせフォームがデフォルトのまま放置されている
- 問い合わせメールが個人の受信箱に埋もれ、対応漏れが発生している
- 対応状況をExcelやスプレッドシートで管理しているが、リアルタイムに共有できない
- フォームの項目を変更するたびにエンジニアに依頼しなければならない
- イベント申込やアンケートのたびに、毎回ゼロからフォームを作っている
今回は日本の中小企業でニーズの高い3つのフォーム作成ツール──formrun・Tayori・Google フォーム──を、実際の業務利用を想定した観点で比較します。
・formrun / Tayori / Google フォーム の「本質的な違い」── フォーム作成だけなのか、顧客対応まで含むのか
・問い合わせ管理機能 ── ステータス管理・チーム共有・返信機能はどこまで使えるか
・デザイン・カスタマイズ性 ── ブランドに合ったフォームをノーコードで作れるか
・外部連携 ── Slack・メール・CRMなど既存ツールとの連携はどこまでできるか
・料金体系 ── 無料プランの制限と、有料プランに移行すべきタイミング
フォーム作成ツールの基礎知識 ── 「フォームを作る」だけでは不十分な理由
比較に入る前に、フォーム作成ツールが中小企業にもたらす価値を整理しておくのがポイントです。
フォーム作成ツールとは ── Webサイトに設置する問い合わせフォーム、アンケート、申込フォームなどをノーコードで作成・管理できるクラウドサービスです。単にフォームを作るだけでなく、受け取った回答の管理・チーム共有・顧客対応まで一気通貫で行えるサービスも増えています。
導入で変わる3つのこと:
- ノーコードで即座にフォーム作成 ── エンジニアに依頼せず、必要なときに必要なフォームをすぐに用意できる
- 問い合わせの対応漏れ防止 ── ステータス管理とチーム共有で、「誰が・いつ・どう対応したか」が一目瞭然
- 顧客データの蓄積 ── 問い合わせ履歴が自動で記録され、リピーター対応や傾向分析に活用できる
Google フォームのように「フォームを作る」ことに特化したツールと、formrunやTayoriのように「フォームで受け取った問い合わせの管理・対応」まで含むツールでは、解決できる課題の範囲が大きく異なります。自社の課題が「フォームを作りたい」だけなのか「問い合わせ対応の業務フローを改善したい」のかを明確にすることが、ツール選びの出発点になります。
3サービスの基本比較 ── まず全体像を掴みましょう
| 項目 | formrun | Tayori | Google フォーム |
|---|---|---|---|
| 運営会社 | 株式会社ベーシック(日本) | 株式会社PR TIMES(日本) | Google LLC(米国) |
| サービス開始 | 2016年 | 2015年 | 2008年 |
| 無料プラン | あり(フォーム1個まで) | あり(フォーム1個・FAQ1個まで) | あり(Googleアカウントで無制限) |
| 有料プラン | 3,880円〜/月 | 3,800円〜/月 | 0円(Google Workspace経由は1,360円〜/月) |
| 問い合わせ管理 | カンバン方式(有料プランで高機能化) | 受信箱+ステータス管理 | なし(スプレッドシート出力のみ) |
| 特徴 | フォーム+顧客管理の一体型 | フォーム+FAQ+チャットの統合CS | 無料・無制限・Googleエコシステム |
formrun ── フォーム作成から顧客管理まで「問い合わせ対応のすべて」を一元化
formrunが選ばれる理由
formrunは、株式会社ベーシックが提供するフォーム作成・問い合わせ管理ツールです。最大の特徴はフォームの作成から、受け取った問い合わせの管理・対応・チーム共有までをワンストップで完結できること。問い合わせをカンバンボード形式で管理でき、「未対応→対応中→完了」のステータス遷移が視覚的に把握できます。
formrunの強み:
- 40種以上のテンプレート ── 問い合わせ・資料請求・イベント申込・採用エントリーなど、目的別テンプレートが豊富。ドラッグ&ドロップで即座にフォームが完成
- カンバン方式の問い合わせ管理 ── 受け取った問い合わせを「未対応・対応中・対応完了」のステータスで管理。対応漏れを防止
- チームでの共同管理 ── 複数メンバーでフォームと問い合わせを共有。誰がどの問い合わせを担当しているかが一目瞭然
- Slack・Chatwork連携 ── 新しい問い合わせが届くとSlackやChatworkに自動通知。対応スピードが向上
- Salesforce・HubSpot連携 ── 問い合わせデータをCRMに自動連携。リード管理や営業フローとの接続が可能
・無料プランはフォーム1個までと制限が厳しく、本格利用にはほぼ有料プランが必須
・フォームのデザインカスタマイズは豊富だが、完全な自由レイアウトはコード編集が必要
・FAQページやチャットボットの機能はなく、フォーム以外のCS機能はTayoriの方が充実
・月額3,880円〜は「フォームツール」としては高めに感じる場合がある(ただし問い合わせ管理込み)
・データのエクスポートは有料プランのみ。無料プランではCSV出力ができない
formrunが特に向いている企業・用途
- Webサイトの問い合わせフォームを設置し、対応状況をチームで管理したい企業
- 営業リードの獲得→CRM連携まで自動化したいBtoB企業
- 採用エントリーフォームを作り、応募者の対応ステータスを管理したい人事部門
- SlackやChatworkで通知を受け取り、スピーディーに問い合わせに対応したいチーム
- 複数のフォーム(問い合わせ・資料請求・イベント申込)を一つのダッシュボードで管理したい企業
Tayori ── フォーム+FAQ+チャットで「カスタマーサポートの入口」を丸ごとカバー
Tayoriが選ばれる理由
Tayoriは、株式会社PR TIMESが提供するカスタマーサポートツールです。最大の特徴はフォーム作成に加えて、FAQページ・チャット・アンケートの4機能を統合していること。「問い合わせフォーム」だけでなく、「よくある質問で自己解決を促す」「チャットで即時対応する」という顧客サポート全体の設計が可能です。
Tayoriの強み:
- 4つの機能を統合 ── フォーム・FAQ・チャット・アンケートをひとつのサービスで管理。顧客対応の入口を統一できる
- FAQページの作成 ── よくある質問をFAQとして公開し、問い合わせ件数そのものを削減。サポートコストの抑制に直結
- チャット機能 ── Webサイトにチャットウィジェットを設置し、リアルタイムで顧客対応が可能
- シンプルなUI ── ITに詳しくないスタッフでも直感的に操作可能。導入教育のコストが低い
- PR TIMESとの連携 ── PR TIMESを利用している企業はアカウント連携がスムーズ
・無料プランはフォーム1個・FAQ1個までと制限が厳しい
・フォームのデザインテンプレートはformrunほど豊富ではない
・CRM連携(Salesforce・HubSpotなど)の機能はformrunの方が充実
・カンバン方式の問い合わせ管理はなく、問い合わせ管理のビジュアル性はformrunの方が優れる
・チャット機能は有料プラン(スタータープラン以上)で本格利用可能
Tayoriが特に向いている企業・用途
- 問い合わせフォームとFAQページを同時に整備し、サポート業務全体を効率化したい企業
- 「よくある質問」で顧客の自己解決を促し、問い合わせ件数を減らしたいカスタマーサポート部門
- チャットでの即時対応を導入し、顧客満足度を向上させたいEC・サービス業
- ITに詳しくないスタッフでもすぐに使えるシンプルなツールが必要な中小企業
- まずは低コストでフォーム+FAQの基盤を作り、段階的に拡張していきたい企業
Google フォーム ── 完全無料・無制限、Google エコシステムのシンプルフォーム
Google フォームが選ばれる理由
Google フォームは、Googleが提供する無料のフォーム作成ツールです。最大の特徴はGoogleアカウントさえあれば完全無料で、作成数も回答数も無制限に利用できること。アンケート・申込フォーム・テスト・投票など、あらゆる用途のフォームを数分で作成できます。
Google フォームの強み:
- 完全無料・無制限 ── フォーム作成数・回答数ともに制限なし。コストゼロで即座に利用開始
- Googleスプレッドシート連携 ── 回答がリアルタイムでスプレッドシートに蓄積。集計・分析・共有が容易
- 共同編集 ── Google ドキュメントと同様に、複数人でフォームを同時に編集可能
- 条件分岐 ── 回答内容に応じて次の質問を出し分ける条件分岐機能を標準搭載
- Google Workspace統合 ── Gmail・Google カレンダー・Google ドライブなどとシームレスに連携
・問い合わせ管理機能がないため、回答をメールやスプレッドシートで手動管理する必要がある
・フォームのデザインカスタマイズ性が低く、企業のブランドイメージに合わせた調整が難しい
・独自ドメインでのフォーム公開ができず、URLは「docs.google.com」ドメインになる
・ファイルアップロード機能はあるが、回答者にもGoogleアカウントが必要
・自動返信メールのカスタマイズ性が低く、ビジネス用途では物足りない場合がある
Google フォームが特に向いている企業・用途
- 社内アンケート・従業員満足度調査など、社内利用が中心の企業
- イベント参加申込・セミナー受付など、一時的なフォームを頻繁に作成する企業
- Google Workspaceをすでに導入しており、追加コストなしでフォームを使いたい企業
- 回答データをスプレッドシートで自由に加工・分析したいデータ重視の部門
- フォーム作成にコストをかけたくない個人事業主・スタートアップ
料金比較 ── チーム5名・問い合わせフォーム3個の場合
| 項目 | formrun | Tayori | Google フォーム |
|---|---|---|---|
| 初期費用 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 無料プランの制限 | フォーム1個まで | フォーム1個・FAQ1個まで | 制限なし |
| 月額料金(有料プラン) | 3,880円〜(BEGINNERプラン) | 3,800円〜(スタータープラン) | 0円 |
| チームメンバー追加 | プランにより上限あり | プランにより上限あり | 無制限 |
| 問い合わせ管理 | カンバン方式(有料プラン) | 受信箱方式(有料プラン) | なし |
| 年間コスト概算 | 46,560円〜 | 45,600円〜 | 0円 |
機能比較 ── 問い合わせ管理と外部連携の違い
| 機能 | formrun | Tayori | Google フォーム |
|---|---|---|---|
| フォーム作成 | テンプレート40種以上 | テンプレートあり | 自由作成(テンプレートあり) |
| デザインカスタマイズ | 高い(カラー・レイアウト・CSS) | 中程度(カラー・ロゴ) | 低い(テーマカラー程度) |
| 問い合わせ管理 | カンバンボード | 受信箱+ステータス | なし |
| FAQページ作成 | なし | あり | なし |
| チャット機能 | なし | あり(有料プラン) | なし |
| 自動返信メール | カスタマイズ可能 | カスタマイズ可能 | 簡易的 |
| Slack連携 | 対応 | 対応 | GAS経由で可能 |
| CRM連携 | Salesforce・HubSpot | 限定的 | Zapier等で可能 |
| 条件分岐 | 対応 | 対応 | 対応 |
| ファイル添付 | 対応 | 対応 | 対応(要Googleアカウント) |
| 埋め込み | iframe・リンク | iframe・リンク | iframe・リンク |
TayoriのFAQ機能は「問い合わせフォームに到達する前に、よくある質問で自己解決してもらう」という導線を構築できます。問い合わせ件数が多い企業にとって、FAQページの整備はサポートコスト削減に直結する施策です。formrunやGoogle フォームにはこの機能がないため、FAQは別途Notion等で管理する必要があります。
使い分けガイド ── あなたのビジネスに合うのはどれか
formrunを選ぶべきケース
「問い合わせフォームの設置だけでなく、受け取った問い合わせの対応管理まで一元化したい」企業に最適です。
カンバンボード形式の問い合わせ管理は、チームでの対応漏れ防止に絶大な効果を発揮します。特にBtoB企業で「Webサイト経由のリード→営業チームへの引き渡し→対応状況の追跡」を一気通貫で管理したい場合、formrunのCRM連携機能が強みとなります。
Tayoriを選ぶべきケース
「問い合わせフォームだけでなく、FAQページやチャットも含めたカスタマーサポート全体を整備したい」企業に最適です。
フォーム・FAQ・チャット・アンケートの4機能が統合されているため、「顧客が自己解決できる導線(FAQ)→それでも解決しない場合の問い合わせ(フォーム・チャット)→対応後の満足度調査(アンケート)」というサポート全体のフローを一つのツールで設計できます。
Google フォームを選ぶべきケース
「コストをかけずに、必要なときにサッとフォームを作りたい」企業に最適です。
完全無料で作成数・回答数ともに無制限という条件は、社内アンケート、イベント申込、セミナー受付など「作っては使い捨てる」タイプのフォーム運用に最適です。回答データはスプレッドシートに自動蓄積されるため、データの二次加工や分析の自由度も高いのが魅力です。
導入を成功させるための3つのステップ
ステップ1:自社の「フォーム課題」を明確にする
まず「フォームを作ること自体が課題なのか」「問い合わせ対応の管理が課題なのか」を切り分けるのがポイントです。前者であればGoogle フォームで十分対応できます。後者であればformrunやTayoriの導入効果が大きくなります。
ステップ2:無料プランで実際にフォームを作ってみる
3サービスとも無料プランが用意されているため、実際にフォームを構築し、テスト送信を行い、回答の管理画面を確認してみるのが大切です。特に「問い合わせが届いた後の管理画面」の使い勝手は、ツール選定の決め手になるポイントです。
ステップ3:まずは1つのフォームから始め、運用を定着させる
最初から全ページのフォームを一斉に切り替えるのではなく、最も問い合わせが多いフォームを1つ選んで置き換えるのがスムーズです。運用に慣れたら、資料請求フォーム、採用エントリーフォームなど順次拡大していくのがおすすめです。
フォームの使いやすさは、そのまま企業の第一印象になります。入力しづらいフォーム、送信後に何の反応もないフォームは、見込み顧客を逃す原因になりかねません。さらにフォーム送信後の対応スピードと正確さが、顧客満足度とリピート率に直結します。フォームの「作成」と「管理」を一体で見直すことが、顧客対応の品質向上への第一歩です。
よくある質問
編集部の結論
大切なのは「きれいなフォームを作ること」ではなく、「問い合わせを受けた後の対応フローまで含めて設計すること」です。
問い合わせの対応管理までワンストップで行いたいならformrunがおすすめです。カンバンボード形式の問い合わせ管理は、チームでの対応漏れ防止に非常に効果的です。特にBtoB企業のリード管理やCRM連携を重視する場合、formrunの統合力が際立ちます。
FAQページやチャットも含めたカスタマーサポート全体を整備したいならTayoriが最適です。フォーム・FAQ・チャット・アンケートの4機能が統合されており、「顧客の自己解決を促す→解決しない場合に問い合わせを受ける」という理想的なサポート導線を構築できます。
コストゼロでシンプルにフォームを使いたいならGoogle フォームが最も手軽な選択肢です。社内アンケート、イベント申込、セミナー受付など、手軽に作って手軽に集計したい用途では圧倒的な使いやすさです。
迷ったら、まずは3サービスの無料プランで同じ内容のフォームを作り、テスト送信をしてみるのが一番です。フォームの入力体験、管理画面の使い勝手、通知の仕組み──実際に触ってみないと分からないことが必ずあります。
まとめ:選び方の3つのポイント
- 問い合わせ管理+CRM連携重視なら → formrun(カンバン管理、Salesforce・HubSpot連携、チーム対応)
- FAQ+チャット+フォーム統合重視なら → Tayori(4機能統合、自己解決促進、シンプルUI)
- 無料・無制限・Google連携重視なら → Google フォーム(0円で無制限、スプレッドシート連携、共同編集)
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