その作業、まだ手でやっていますか?
中小企業の現場で、こんなことが毎日起きていないでしょうか。
問い合わせフォームの内容を手動でスプレッドシートに転記する。請求書のPDFを毎月ひとつずつ作成してメールに添付する。SNSに投稿するたびにブラウザのタブを3つ開く。新しいリードが入るたびにCRMに手入力する――。
こうした「人がやらなくていい作業」に、毎週どれだけの時間を使っていますか。1つ1つは5分で終わる作業でも、積み重なれば月に10時間、年間120時間を超えます。それは正社員の約15営業日分です。
・Make(旧Integromat)とは何か -- ノーコード自動化の基本
・Zapierとの正直な比較 -- どちらを選ぶべきか
・中小企業で効果が出やすい自動化シナリオ5選
・導入で失敗しないためのステップと注意点
Makeとは何か — 「シナリオ」で業務をつなぐ自動化ツール
Make(旧Integromat)は、異なるWebサービス同士を「シナリオ」と呼ばれるビジュアルフローで接続し、手作業を自動化するノーコードツールです。
たとえば「Gmailに添付ファイル付きのメールが届いたら、添付ファイルをGoogle Driveに保存し、Slackに通知する」という処理を、コードを一行も書かずに構築できます。
Makeの最大の特徴はビジュアルエディタです。処理の流れが「図」として画面に表示されるため、どのサービスがどう繋がっているのかがひと目で分かります。これは後述するZapierとの大きな違いでもあります。
Makeは2026年4月現在、1,800以上のアプリ・サービスに対応しています。Google Workspace、Slack、HubSpot、Shopify、X(Twitter)、LINE公式アカウントなど、中小企業が日常的に使うサービスはほぼカバーされています。日本語UIにも対応済みです。
Make vs Zapier — 正直に比較する
ノーコード自動化を検討すると、必ず名前が挙がるのがZapierです。どちらも優れたツールですが、性格がかなり異なります。編集部が両方を実際に使った上での評価を、正直にまとめます。
| 項目 | Make | Zapier |
|---|---|---|
| 操作画面 | ビジュアルフロー(図で組み立てる) | リスト形式(ステップを順番に並べる) |
| 無料プラン | 1,000オペレーション/月 | 100タスク/月 |
| 条件分岐 | 標準搭載(ルーター機能) | 有料プランのみ |
| 料金(有料) | $10.59/月〜 | $29.99/月〜 |
| 対応アプリ数 | 1,800+ | 7,000+ |
| 学習コスト | やや高い(概念の理解が必要) | 低い(直感的に使える) |
| エラーハンドリング | 詳細な設定が可能 | 基本的(リトライ程度) |
| 日本語UI | 対応 | 対応 |
Makeが向いているケース
- 複雑な条件分岐やデータ加工を含むワークフローを作りたい
- コストを抑えたい(無料枠が10倍、有料プランも約1/3)
- 処理の流れを「図」で把握・管理したい
- エラー時の挙動を細かく制御したい
Zapierが向いているケース
- とにかく早く、簡単に自動化を始めたい
- 対応アプリの豊富さを重視する(ニッチなSaaSを使っている)
- シンプルな「AならB」の自動化がメイン
中小企業で効果が出やすい自動化シナリオ5選
編集部が実際にMakeで構築・検証したシナリオの中から、中小企業で特に効果が高かったものを5つ紹介します。
1. 問い合わせフォーム → Slack通知 + スプレッドシート記録
Webサイトの問い合わせがあるたびに、Slackの指定チャンネルに通知を飛ばし、同時にGoogleスプレッドシートに記録します。構築時間は約15分。対応漏れがゼロになり、問い合わせの集計もリアルタイムで確認できるようになります。
削減できる時間の目安: 月あたり約3〜5時間(1日10件の問い合わせがある場合)
2. 請求書の自動生成・送信
Googleスプレッドシートの売上データからPDFの請求書を生成し、メールで自動送信するシナリオです。毎月の請求業務が「スプレッドシートを更新するだけ」に変わります。
削減できる時間の目安: 月あたり約4〜8時間(請求先20社の場合)
3. SNS投稿の一括自動化
ブログ記事を公開したら、X(Twitter)、Facebook、Instagramに自動投稿。各プラットフォームに合わせた文字数調整やハッシュタグ追加もMake上で設定できます。
4. 新規リードのCRM自動登録
フォームやメールで届いた見込み客の情報を、HubSpotやSalesforceなどのCRMに自動登録。手動入力の手間とミスをゼロにします。Makeのルーター機能を使えば、リードの属性に応じて異なる担当者に振り分けることも可能です。
5. 日報・週報の自動集約
各メンバーがGoogleフォームで入力した日報を、Notionやスプレッドシートに自動集約。マネージャーは1つの画面でチーム全体の状況を把握できます。「日報を集めて読む」という地味だけど時間のかかる作業から解放されます。
・最初から完璧を目指さない。まず1つのシナリオを動かし、効果を実感してから拡張する
・「毎日やっている繰り返し作業」から着手する(頻度が高いほど効果が大きい)
・シナリオにはわかりやすい名前を付け、チーム内でドキュメント化しておく
導入で失敗しないための5ステップ
ステップ1:無料アカウントを作成する
Make公式サイトでGoogleアカウントまたはメールアドレスで登録。クレジットカード不要で即座に使い始められます。
ステップ2:テンプレートから始める
いきなりゼロから作るのではなく、テンプレートギャラリーから自社に近いシナリオを選んでください。「Gmail + Google Drive」「Slack + Googleスプレッドシート」など、よく使われる組み合わせは事前に用意されています。
ステップ3:サービスを接続する
使いたいサービス(Gmail、Slack、Google Driveなど)のアカウントをMakeに接続します。OAuth認証なので、パスワードをMakeに渡す必要はありません。
ステップ4:テスト実行で動作を確認する
必ず本番運用の前にテスト実行してください。Makeにはステップごとの実行結果を確認できるデバッグ機能があり、どこでエラーが起きたかが一目で分かります。
ステップ5:スケジュール設定で自動実行をONにする
テストが通ったら、実行間隔(即座・15分ごと・毎日など)を設定して自動化を有効にします。
・Makeの「オペレーション」のカウント方法を理解しておくこと。1シナリオの実行ではなく、シナリオ内の各モジュールの処理ごとに1オペレーションが消費される
・無料プランは月1,000オペレーションまで。思ったより早く上限に達する場合がある
・Zapierより学習コストは高い。「ビジュアルフロー」は直感的に見えるが、ルーター・イテレーター・アグリゲーターなどの概念を理解する必要がある
・海外サービスのため、サポートは英語が基本。日本語コミュニティは成長中だがまだ小規模
よくある質問
StackPicks編集部の結論
中小企業がノーコード自動化を始めるなら、Makeは最もコストパフォーマンスの高い選択肢です。
無料プランの実用性、ビジュアルエディタの分かりやすさ、条件分岐やエラーハンドリングの柔軟性――総合的に見て、月数万円の有料ツールに匹敵する機能を無料〜低価格で使えるのはMakeの大きな強みです。
ただし、学習コストはZapierより高く、「5分で自動化」というわけにはいきません。初期設定に30分〜1時間かかることを見込んでおいてください。
最も確実な始め方は、この記事で紹介した5つのシナリオのうち1つを、今日Make無料プランで試してみることです。1つ目のシナリオが動いた瞬間、「なぜもっと早くやらなかったのか」と感じるはずです。