オフィスで握手するビジネスパーソン — 人事労務管理のイメージ
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「入退社のたびにExcelと紙の書類を総動員」── そんな労務管理、まだ続けていませんか?

結論から言います。 クラウド人事労務管理システムを選ぶうえで最も重要なのは、「機能の多さ」ではなく「自社の従業員規模と、すでに使っているバックオフィスツールとの連携性」です。

社会保険の資格取得届、雇用保険の被保険者資格取得届、36協定の届出……。従業員が1人入社するだけでも、労務担当者が処理すべき書類は膨大です。さらに毎年やってくる年末調整では、従業員への書類配布・回収・チェック・提出に何週間も時間を取られるケースは珍しくありません。

  • 入退社のたびに同じ情報を何枚もの書類に転記している
  • 年末調整の時期になると、紙の書類の配布・回収・チェックで業務が止まる
  • 従業員情報がExcelに散在していて、最新のデータがどこにあるか分からない
  • 社会保険や雇用保険の届出書類を手書きで作成している
  • 法改正のたびに書式が変わり、対応に追われる

今回は日本の中小企業で導入実績の多い3つのクラウド人事労務管理システム──SmartHR・freee人事労務・ジョブカン労務HR──を、実際の導入を想定した観点で比較します。

この記事で分かること
・SmartHR / freee人事労務 / ジョブカン労務HRの「本質的な違い」── 向いている企業・向いていない企業
・入退社手続きの電子化 ── 書類作成から届出までどこまで自動化できるのか
・年末調整のペーパーレス化 ── 従業員への質問形式による自動収集の使い勝手
・従業員データベースの管理 ── 人事情報の一元管理はどこまでできるのか
・電子申請への対応状況 ── e-Govとの連携で届出がどれだけ楽になるのか

人事労務管理の基礎知識 ── なぜ今クラウド化が求められているのか

比較に入る前に、人事労務管理を取り巻く環境の変化を簡単に整理しておくのがポイントです。

社会保険手続きの電子申請義務化 ── 2020年4月から、特定の法人(資本金1億円超など)では社会保険・労働保険の一部手続きについて電子申請が義務化されました。中小企業には現時点で義務はありませんが、政府はe-Gov(電子政府の総合窓口)を通じた電子申請を強く推進しており、対応は早いに越したことはありません。

労働基準法の改正への継続的な対応 ── 時間外労働の上限規制、有給休暇の年5日取得義務化など、労務管理に関わる法改正は年々複雑化しています。クラウドシステムであれば、法改正に合わせたアップデートが自動で反映されるため、対応漏れのリスクを大幅に減らせます。

クラウド人事労務管理システムなら法対応の負担が大幅に軽減されます
今回比較する3サービスはいずれも、社会保険・雇用保険の届出書類の自動作成やe-Gov連携による電子申請に対応しています。法改正があった場合も、システム側で自動的にフォーマットが更新されるため、担当者が書式変更を気にする必要はありません。

3サービスの基本比較 ── まず全体像を掴みましょう

項目SmartHRfreee人事労務ジョブカン労務HR
運営会社株式会社SmartHR(日本)フリー株式会社(日本)株式会社DONUTS(日本)
導入社数60,000社以上非公開(freee全体で50万社以上)シリーズ累計250,000社以上
初期費用なしなしなし
月額料金要問い合わせ(従業員数に応じた見積もり)2,680円〜/月(スタータープラン、年払い)400円/名/月〜
無料プランあり(従業員30名まで)なし(30日間無料トライアル)あり(従業員5名まで)
入退社手続き電子化対応電子化対応電子化対応
年末調整ペーパーレス対応ペーパーレス対応ペーパーレス対応
e-Gov電子申請API連携API連携API連携
特徴人事労務に特化した圧倒的な機能会計・給与との一体運用ジョブカンシリーズとの連携

SmartHR ── 人事労務SaaSの代名詞、圧倒的な導入実績

SmartHRが選ばれる理由

SmartHRは、株式会社SmartHRが提供するクラウド人事労務管理システムです。「人事労務管理」に特化したサービスとして国内トップクラスの導入実績を誇り、60,000社以上に利用されています。テレビCMやWeb広告でもおなじみで、クラウド人事労務管理の代名詞的な存在です。

SmartHRの強み:

  • 人事労務に特化した圧倒的な機能 ── 入退社手続き、年末調整、従業員サーベイ、人事評価まで幅広くカバー
  • 従業員が自分で情報を入力 ── 入社時の個人情報や年末調整の回答を従業員本人がスマホ・PCから入力、担当者の転記作業が不要に
  • e-Gov API連携 ── 社会保険・雇用保険の届出をシステムから直接電子申請、役所に行く手間がゼロに
  • 30名まで無料で使える ── スタートアップや小規模企業でも導入のハードルが非常に低い
  • 外部サービスとの豊富な連携 ── 勤怠管理、給与計算、会計ソフトなど100以上のサービスと連携可能
SmartHRのデメリット(正直に書きます)
・有料プランの料金は非公開で、見積もりが必要(予算の比較がしにくい)
・給与計算機能は搭載されておらず、別途給与計算ソフトが必要
・勤怠管理機能もないため、勤怠は別サービスとの連携が前提
・機能が多いぶん、初期設定にやや時間がかかる
・小規模企業には使い切れない機能もある

SmartHRが特に向いている企業

  • 従業員30名以上で、入退社手続きや年末調整の負担が大きい企業
  • 人事労務管理を専門的に効率化したい(給与・勤怠は別システムでもOK)
  • 従業員サーベイや人事評価など、人事領域を幅広くカバーしたい
  • e-Gov電子申請を本格的に活用し、役所への届出をゼロにしたい
  • まずは無料プランで試してから導入を判断したい

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freee人事労務 ── 給与計算から労務手続きまで一体運用

freee人事労務が選ばれる理由

freee人事労務は、freee株式会社が提供するクラウド人事労務管理サービスです。最大の特徴は給与計算・勤怠管理・労務手続きを1つのサービスで完結できること。freee会計と組み合わせれば、給与の仕訳作成から年末調整まで一気通貫で処理できます。

freee人事労務の強み:

  • 給与計算が標準搭載 ── 勤怠データを取り込み、給与・賞与の自動計算から明細配布までワンストップ
  • freee会計との完全連携 ── 給与データの仕訳が自動作成され、手入力による転記ミスがなくなる
  • 年末調整のペーパーレス化 ── 従業員がスマホで質問に答えるだけで必要書類が自動作成
  • リーズナブルな価格設定 ── 月額2,680円〜で人事労務の基本機能が利用可能
  • マイナンバー管理 ── 収集・保管・廃棄まで安全に一元管理
freee人事労務のデメリット(正直に書きます)
・freee会計の契約がないと連携メリットが薄れる(他社会計ソフトとの連携は限定的)
・人事評価や従業員サーベイなどの人事管理機能はSmartHRに劣る
・従業員数が増えると追加料金が発生し、50名以上ではコストが上がる
・複雑な給与体系(複数の手当区分、変則的な支給日など)の設定にやや手間がかかる
・電話サポートは上位プランのみ

freee人事労務が特に向いている企業

  • 給与計算・勤怠管理・労務手続きを1つのサービスにまとめたい
  • freee会計をすでに使っている(連携メリットが最大化される)
  • 経理担当者がおらず、バックオフィス全体を少人数で回している
  • とにかく1つのツールで完結させたい(ツールの数を増やしたくない)
  • コストを抑えつつ、本格的な人事労務管理を始めたい

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ジョブカン労務HR ── 1名400円から始められるコスパ最強の選択肢

ジョブカン労務HRが選ばれる理由

ジョブカン労務HRは、株式会社DONUTSが提供するクラウド労務管理サービスです。ジョブカンシリーズ(勤怠管理・給与計算・経費精算・採用管理・ワークフロー)の1つとして提供されており、必要な機能だけを選んで組み合わせられる柔軟さが特徴です。

ジョブカン労務HRの強み:

  • 業界最安クラスの料金設定 ── 1名あたり月額400円〜、5名まで無料で利用可能
  • ジョブカンシリーズとの連携 ── 勤怠管理、給与計算など、必要な機能を段階的に追加できる
  • シンプルなUI ── 労務管理に必要な機能に絞った分かりやすい画面設計
  • 帳票の自動作成 ── 従業員情報を入力するだけで、社会保険・雇用保険の届出書類を自動生成
  • ToDoリスト機能 ── 入退社手続きに必要なタスクをチェックリスト形式で管理、漏れを防止
ジョブカン労務HRのデメリット(正直に書きます)
・年末調整機能は別途「ジョブカン年末調整」の契約が必要
・人事評価や従業員サーベイ機能は搭載されていない
・SmartHRほどの外部連携の幅はない(ジョブカンシリーズ内の連携が中心)
・大企業向けの高度なワークフロー機能はやや弱い
・e-Gov電子申請の対応範囲がSmartHRやfreeeよりやや限定的

ジョブカン労務HRが特に向いている企業

  • とにかくコストを抑えて労務管理のクラウド化を始めたい
  • ジョブカン勤怠管理やジョブカン給与計算をすでに使っている
  • まずは入退社手続きと届出書類の作成だけを効率化したい
  • 従業員10〜30名程度で、高度な人事管理機能は不要
  • 必要な機能だけを選んで段階的にクラウド化を進めたい

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料金比較 ── 従業員30名の企業で利用した場合のリアルなコスト

項目SmartHRfreee人事労務ジョブカン労務HR
初期費用0円0円0円
月額料金(目安)要見積もり(非公開)4,980円(スタンダードプラン、年払い)+ 従業員課金12,000円(400円×30名)
含まれる機能労務手続き・年末調整・従業員DB給与計算・労務手続き・年末調整・勤怠労務手続き・届出書類作成
年間コスト概算推定200,000〜400,000円約120,000〜180,000円約144,000円
無料プラン30名まで無料なし(30日間トライアル)5名まで無料
料金だけで比較すると見落としがちなポイントがあります。SmartHRは料金非公開ですが、30名まで無料のプランがあるため、小規模企業であれば実質コストゼロで本格的な労務管理が可能です。freee人事労務は給与計算まで含んだ価格のため、別途給与計算ソフトを契約する場合と比べるとトータルコストは安くなる場合があります。ジョブカン労務HRは1名あたりの単価が明確で予算が立てやすい反面、年末調整は別料金となるため注意が必要です。

年末調整のペーパーレス化を比較 ── 毎年の大仕事をどこまで楽にできるか

年末調整は人事労務担当者にとって、年間で最も負担の大きい業務の1つです。3サービスの対応力を比較します。

SmartHRの年末調整

SmartHRの年末調整機能は、従業員がスマホやPCから質問に回答するだけで、必要な申告書が自動作成される仕組みです。「配偶者はいますか?」「住宅ローンはありますか?」といった分かりやすい質問に答えていくだけなので、従業員が税の専門知識を持っている必要はありません。回収状況もダッシュボードで一覧管理でき、未回答者へのリマインドも簡単に送れます。

freee人事労務の年末調整

freee人事労務の年末調整も質問形式で従業員から情報を収集します。給与計算機能と統合されているため、年間の給与データをそのまま年末調整に反映でき、源泉徴収票の作成から給与支払報告書の出力までシームレスに処理できるのが大きな強みです。

ジョブカン労務HRの年末調整

ジョブカン労務HRの場合、年末調整は**別サービス「ジョブカン年末調整」**として提供されています。追加契約が必要ですが、ジョブカン労務HRに登録された従業員情報を活用できるため、初期設定の手間は最小限です。質問形式での情報収集にも対応しています。

年末調整のペーパーレス化は3サービスとも実用レベルに達しています
紙の書類を配布・回収していた時代と比べると、どのサービスを選んでも作業時間は大幅に短縮されます。差が出るのは「給与計算から年末調整までの一気通貫性」です。給与計算もまとめて効率化したいならfreee人事労務、労務手続き全般を高いレベルで効率化したいならSmartHR、コスト重視ならジョブカン労務HR+年末調整の組み合わせがおすすめです。

使い分けガイド ── あなたの会社に合うのはどれか

SmartHRを選ぶべきケース

「人事労務管理を本格的に効率化し、将来的にはタレントマネジメントまで視野に入れたい」企業に最適です。

入退社手続き、年末調整、従業員サーベイ、人事評価まで、人事領域を幅広くカバーできるのはSmartHRだけです。30名まで無料のプランがあるため、スタートアップから始めて、成長に合わせてプランをアップグレードしていくこともできます。

freee人事労務を選ぶべきケース

「給与計算・勤怠管理・労務手続きを1つにまとめ、バックオフィス全体をシンプルにしたい」企業に最適です。

給与計算から年末調整、社会保険手続きまでワンストップで処理でき、freee会計と組み合わせれば仕訳の自動作成も実現します。ツールの数を増やしたくない小〜中規模企業にとって、最もバランスの良い選択肢です。

ジョブカン労務HRを選ぶべきケース

「まずは低コストで労務管理のペーパーレス化を始めたい」企業に最適です。

1名あたり月額400円という明確な料金体系で、必要な機能から段階的にクラウド化を進められます。ジョブカン勤怠管理をすでに利用中の企業なら、シリーズ連携のメリットも最大化できます。

導入を成功させるための3つのステップ

人事労務管理システムの導入で最も重要なのは、「従業員情報を正確に移行すること」と「現場の担当者が無理なく使いこなせること」です。

ステップ1:従業員情報の棚卸しをする

まず、現在の従業員情報(氏名・住所・扶養家族・社会保険の加入状況など)がどこにどのような形式で保管されているかを整理するのがポイントです。Excelファイルが複数に分散しているケースも多いため、この機会に情報を一箇所に集約しておくとスムーズです。

ステップ2:次の入退社手続きのタイミングで試す

システムを導入したら、次に入退社が発生するタイミングで実際に使ってみるのがおすすめです。3サービスとも無料プランやトライアルが用意されているため、まずは1件の手続きを通して操作感を確認するのが大切です。

ステップ3:年末調整の前に本格導入を決める

年末調整は毎年11月〜12月に集中するため、逆算すると9月〜10月までには本格導入を完了しておくのが理想です。年末調整の時期に初めてシステムを使い始めると、従業員への案内や操作方法の周知が間に合わないリスクがあります。

導入時は「まず1つの業務」に絞って始めるのがおすすめです
人事労務管理システムは機能が多いため、最初からすべての機能を使おうとすると挫折しやすくなります。まずは「入退社手続き」や「従業員情報の管理」など、日常的に発生する1つの業務に絞ってシステム化し、慣れてきたら年末調整やe-Gov電子申請に範囲を広げていくのが成功のコツです。

よくある質問

従業員が5名以下の小規模企業でも導入するメリットはありますか?
あります。特に入退社手続きの書類作成と年末調整のペーパーレス化は、少人数の企業でも大きな時間削減効果があります。SmartHRなら30名まで無料、ジョブカン労務HRなら5名まで無料で使えるため、コストをかけずに試すことが可能です。
給与計算ソフトとの連携は必要ですか?
freee人事労務は給与計算機能を内蔵しているため、別途給与計算ソフトは不要です。SmartHRとジョブカン労務HRは給与計算機能を持っていないため、別途給与計算ソフト(freee、マネーフォワードクラウド給与、ジョブカン給与計算など)との連携が必要です。ただし、いずれもCSV連携やAPI連携に対応しているため、データの手入力は不要です。
マイナンバーの管理はどうなりますか?
3サービスとも、マイナンバーの収集・保管・利用・廃棄まで安全に管理する機能を備えています。従業員がスマホやPCから直接マイナンバーを入力し、暗号化された状態で保管されます。担当者が紙でマイナンバーを受け取る必要がなくなるため、漏洩リスクの軽減にもつながります。
e-Gov電子申請は本当に使いやすいですか?
e-Govの画面から直接申請を行うのは操作が煩雑ですが、SmartHR・freee人事労務・ジョブカン労務HRはいずれもe-Gov APIと連携しているため、各サービスの管理画面からボタン1つで届出を送信できます。システムに登録された従業員情報がそのまま届出書類に反映されるため、入力の手間もありません。

編集部の結論

大切なのは「最も有名なサービス」を選ぶことではなく、「自社のバックオフィス体制と成長フェーズに合ったサービス」を選ぶことです。

人事労務管理を本格的に効率化し、従業員サーベイや人事評価まで将来的に活用したいならSmartHRが最有力です。60,000社以上の導入実績と30名まで無料のプランは、スタートアップから中堅企業まで幅広く対応できる懐の深さがあります。

給与計算から労務手続き、年末調整までを1つのサービスで完結させたいならfreee人事労務がおすすめです。freee会計との連携により、バックオフィス全体のデータの流れがシームレスになり、月次業務の効率が大幅に向上します。

コストを抑えつつ、まずは入退社手続きと届出書類の作成から始めたいならジョブカン労務HRが最適です。1名400円〜の明確な料金体系と、ジョブカンシリーズの段階的な機能追加で、無理のないペースでクラウド化を進められます。

迷ったら、まず「給与計算をどうしているか」を起点に考えるのがおすすめです。給与計算もまとめてクラウド化したいならfreee人事労務、給与計算は既存のソフトで問題ないなら労務管理に特化したSmartHRかジョブカン労務HRを検討するのが効率的です。

まとめ:選び方の3つのポイント

  • 労務管理の専門性+タレントマネジメント重視なら → SmartHR(人事労務特化、30名まで無料)
  • 給与計算一体化+バックオフィス統合重視なら → freee人事労務(給与・労務・会計をワンストップ)
  • 低コスト+段階的導入重視なら → ジョブカン労務HR(1名400円〜、ジョブカンシリーズ連携)

クラウド人事労務管理システムの導入は、毎月の入退社手続きや年末調整にかかる時間を大幅に削減できるだけでなく、従業員情報の一元管理やe-Gov電子申請への対応も同時に実現できます。まずは無料プランやトライアルで実際の操作感を確かめてみてはいかがでしょうか。紙とExcelの労務管理からの脱却は、バックオフィス効率化の大きな一歩になるはずです。